こぶたのトンちゃんは、ともだちがほしいから「ともだちの いす」を作りました。 浜辺に出て、できあがったいすのとなりに座っていると、 「この いすは おとしものなの?」 買い物かごを抱えて通りかかったにわとりさんに聞かれます。 ……だって、だれも座っていないんですもの。そう思われても仕方ないかも。 でもトンちゃんは、ちゃんと答えます。「いいえ、ともだちの いすです」って。
にわとりさんは立ち去りましたが、今度はこわそうなトラがやってきました。 いすをぎろぎろにらむトラに、トンちゃんはびくびくしながら、今度も「ともだちの いすです」と答えますが……?
おくはらゆめさん描くトラは、大きな体で、足にはカラフルなスパイクを履き、手にはサッカーボール。 いかにも強くて豪快そう。がはははという笑い声が聞こえてきそうです。 かわいい緑の首巻き姿で砂浜にしゃがみこみ、巻貝を耳にあてる小さなトンちゃんとはずいぶんちがう感じ。 しかしトラは、構わずいすにどっかとこしかけ、お腹がすいてぐわーっとトンちゃんをたべそうになります! ともだちはたべちゃだめ!と悲鳴をあげるトンちゃん。 ふたりのやりとりに、子どもたちはドキドキ顔です。 さあどうなる? ともだちのいす!?
トンちゃんはトンちゃん。トラはトラ。たしかにふたりはちがうけど……誰かと一緒にすごすってやっぱり素敵。 「わあ、きれい」と子どもから思わず歓声があがる、うつくしい景色も見どころです。 裏表紙のおちゃめな絵もどうぞお見逃しなく!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
友だちがほしいこぶたのトンちゃんは、友だちのためにいすを作りました。浜辺にいすをおいてだれかこないかなーと待っていると、そこにやってきたのは…?!
「友だち」は子どもたちにとって、本当に切実で身近な存在です。けんかしたり仲直りしたり…。日々のなかでときに親より重要だったりします。「友だちってどうやってつくるんだろう?」クラス替えのたびに考える子もいるかもしれません。そしてそんなこと何にも考えなくても友だちがたくさんできる子も。
本書は、そんな友だちで悩んでいる子も、悩んでいない子も楽しめるともだち絵本。 こぶたのトンちゃんと、とらのトラキチくんの友情の芽生えが楽しめる友だち絵本です。
このお話は、いつかできる友達のために素敵な椅子を作ったぶたさんのお話でした。そしてできた友達がトラだったのです(笑)途中食べられそうになるのですが、友達効果で食べられずにすみました!!うちの子はこの意外な組み合わせがツボだったみたいです。 (イカリサンカクさん 30代・ママ 男の子8歳)
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