「日本の伝統芸能を楽しむ」(全4巻)シリーズの1冊。
写真をたっぷり使用した、ビジュアルの大判絵本。 「基礎知識編」「支える人たち編」「資料編」と3つにわかれた構成で、落語・寄席芸についてわかりやすく伝えてくれます。
そもそも落語・寄席芸って……? みなさんはテレビで漫才を見たことがありますよね。落語も漫才も「寄席芸能」の一つ。落語をはじめ講談や太神楽など、伝統芸能はかたくるしいものと思うかもしれませんが、落語はテレビのお笑いと地続きなのです。
落語は江戸時代に生まれ、明示時代にかけてさかんになり、今なお発展中の芸能。予備知識が何もなくても楽しむことができますが、すこし知識があるとさらに深いおもしろさに気づくこともできるはず。本書では「落語のこれを知れば、さらにいちだんとおもしろさがます」ということがらが紹介されています。
「基礎知識編」で、噺(はなし)の流れ、落語の種類、古典落語と新作落語、上方落語と江戸落語についてざっと早わかり。まめ知識のコラムも豊富です。たとえば落語家といえば着物に袴(はかま)、羽織姿ですが、噺をはじめて少しして羽織をぬぐのは「ここから本題に入りますよ」という合図なのだそう。知らなかった! 「寄席に入ってみよう」は大判写真絵本ならではの迫力たっぷり。楽屋裏の写真も満載。寄席の一日、舞台裏はびっくりするほど大忙しなのがわかります。「前座」はだれよりも早く行きそうじをして、「見出し」(木札)を選び、太鼓をたたいて、お茶の用意をして……。一方高座では、一日をとおして落語以外の寄席もいろいろ演じられるみたい。どうです、ぶらっと寄席をのぞいてみたくなりませんか?
「支える人たち編」では、三味線や唄で高座を盛り上げる「お囃子さん」や、看板などに独特の太い文字を書く「寄席文字書家」に密着。 むずかしい漢字にルビがふられ、小学生のお子さんでも読める貴重な一冊です。
たった一人ですべての登場人物を演じる落語のおもしろさ。まずはなにも考えずに見て、聞いてみましょう。録画や音声だけでなく、この本に出てくるような寄席や落語会に、実際に行ってみると楽しさ倍増です。 このシリーズには他に『能・狂言』『歌舞伎』『文楽』もありますので気になったものから手にとってみてください。小学生や中学生にとって、伝統芸能鑑賞の、最適の参考書となる一冊です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
落語や寄席芸をテレビで見たり、実際に見に行ったことのある人も多いのではないでしょうか。落語は江戸時代に生まれ、明治時代にかけてさかんになりました。そして今でも発展しつつある現在進行形の芸能なのです。 日本の伝統芸能が楽しく見られることがらと舞台の裏ではたらく人たちの仕事ぶりをわかりやすく解説したシリーズです。
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