日本なら誰もが知っている有名なおとぎ話。平安時代の前半、9世紀の終わり頃、作られたとされているが、確かな年代、作者ともに不明。 貧乏な竹職人の翁がある日、 竹やぶの中に一本の光る竹を見つける。竹筒の中には、 小さな女の子の赤ちゃんが...。かぐや姫(光りかがや く乙女の意)と名付けられたその姫は、無類の美貌と知性を兼ね備え、五人の貴族たちに求婚されるが、いずれ も現実不可能な難題を求婚者たちにもちかける。かぐや 姫と帝とのプラトニックな愛、生まれ故郷ある月の世 界への旅立ち、別れ...。 竹取物語が作られた頃、実在の人物を主人公にするのではなく、大うその物語「つ くり物語」が多数、生まれているが、この作品ほど親し まれ続けている物語は他に類をみない。荒唐無稽な話か ら、かぐや姫を取り巻く登場人物の描き方がとてもリアルで、生身の人間くささに満ち溢れているところに、そ の秘密があるのかもしれない。
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