スリルと冒険のつまった感動ミステリー 18世紀、音楽の都ウィーンを舞台にした、歴史ミステリ−。クリスマスイブの演奏会の帰り、音楽家ハイドンの楽団ヴァイオリニストが、突然、何者かに殺される。そして、大切にしていたヴァイオリンが、消えてしまった。このヴァイオリニストの娘テレジアは、身重の母と年若い弟とともに取り残され、悲しみにくれるが、どうして、こんなことになったのか、父の死の真実を知ろうと決意する。そして、父の死体を運んできた友人に、現場に連れて行ってくれるように頼む。そこは、ロマの集落の近くで、普通の人は、めったに立ち寄らない場所だった。なぜ父は、こんなところに来ていたのか……。謎は、深まるばかりだった。 登場する音楽家ハイドンは、交響曲の父とも呼ばれる作曲家。また、他にも、エステルハージ侯爵、女帝マリア・テレジア、皇女マリア・エレザベートなど、実在の歴史上の人物が多く登場し、フランス革命前の激動の時代を背景に、臨場感あふれ、読者を引きつけて放さない。しかも、歴史に基づいたストーリーでありながら、歴史的背景を知らなくてもすんなり楽しめるのは、主人公のテレジアが、時代を超えて愛される魅力あふれる少女だからといえるだろう。
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