性格がちがう友だちとのほのぼのとした時間が、やさしいタッチの挿絵とともに収められた絵童話です。 1冊の中に、1話完結のおはなしが5つ入っていて、1つ目は春のおはなし「パジャマで いちにち」。 パジャマ姿で過ごすメガネくんに、遊びに来たハダシくんがつい意見を言うたび、メガネくんが反論します。
実は、メガネくんとハダシくんは、森に暮らす2匹のクマなんです。 メガネくんはパジャマでいるのが好きで、生真面目でいろいろなことに気がつくクマ。 ハダシくんは、裸足が好きで、どちらかというと自由でマイペース。 読者は、ムッとするメガネくんにドキドキしたり、のんきなハダシくんにハラハラ、ヒヤヒヤしたり……。 仲良しの2匹のあいだには、ちょっととぼけたような、何とも言えない空気が漂います。
噛み合わないこともありますが、一緒にチョコレートを食べたり、秋の青空の下で将棋を指したりする姿には、友だちっていいなあ……とうらやましくなっちゃう。 どのおはなしにも、四季の中の、暮らしの味わいがにじみます。
作者の二見正直さんは『もっとおおきな たいほうを』(福音館書店)や『でんしゃだって……』(ブロンズ新社)など、存在感のあるおもしろい絵本を世に送り出している作家さん。 幼年童話は本書が初めてだそうで、今後の作品が楽しみです。
世の中にはいろんな性格の人がいるからこそ、組み合わせの数だけ、一緒に過ごす楽しみ方があるのかもしれませんね。 誰かのちょっとした癖ややり方にも、やさしいまなざしを注ぎたくなる本。 ふと開けば、大人にとっても心和む時間が流れていますよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
森にくらす2匹のクマの友だちがおりなす、ユーモアとやさしさあふれるお話です。メガネくんは生真面目で周りに気を配れるタイプ、一方ハダシくんは周囲があんまり目に入らなくてマイペース。かみあわないところがありながらも、お互いの良いところを見つけて仲よくすごします。すべて一話完結のお話で、1話につき4分ほどで読めるので、読み聞かせにもぴったり。
【内容紹介】
第一話 「パジャマで いちにち」 メガネくんは家ではいつでもパジャマです。それをふしぎに思ったハダシくん。自分もやってみようと真似してみますが、どうもしっくりきません。どうして?
第二話 「〈きみのあじ〉って どんな あじ?」 「大人のチョコ」をメガネくんからもらいましたが、「まずい」とおかんむりのハダシくん。ハダシくんのいう〈おれのあじ〉をさがしにふたりは森へ出かけます。
第三話 「くつを はくと いいこと」 将棋でケンカしたふたり。気分転換に森へ出かけ、カキの木を見つけます。でも実には手がとどきません。ハダシくんはメガネくんのクツを見ていいことを思いつきます。
第四話 「さいこうの すべりだい」 ある日、森は大雪に。風邪を引いたメガネくんにかわってハダシくんが雪かきをして滑り台も作ってくれました。そこへ除雪車がやってきて、滑り台を壊そうとしますが…。
第五話 「まったく はじめて」 メガネくんの誕生日に招かれたハダシくん。パーティーに呼ばれるのも誰かにプレゼントを渡すのもまったく初めて。胸はどっきんどっきん。さあ食事がはじまります。
森で暮らす生真面目なメガネくんとちょっとお友達の気持ちがよめないマイペースなハダシくんのお話です。
1 パジャマでいちにち
2 <きみの あじ>ってどんなあじ?
3 くつをはくといいこと
4 さいこうのすべりだい
5 まったくはじめて
の、5話です
性格の違う二人ですが、お互いが「ちがっている」ところを知ってお互い理解し合いながら、喧嘩もしながら少しずつ相手を理解して絆を深めていくお話でした。お互いに自分に素直で相手にぶつかっているところがいいなあと思いました。5話の「まったくはじめて」のハダシくんが私は、素朴で、メガネくんとの交流のお陰で成長した姿が見られて私は、ちょっと嬉しくなりました。 (押し寿司さん 60代・じいじ・ばあば )
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