芭蕉さんに化けた河童が俳句を読む創作落語
今から約300年前、松尾芭蕉という俳句の名人がいました。すばらしい俳句をよむことで有名になり、あちらこちらでひっぱりだこの人気者となりました。 それをうらやんだのが、古池にすむかっぱ。ニセ芭蕉に化けて、てきとうな俳句をよんで、ごちそうにありつこうというのです。はたして、かっぱのニセ芭蕉のたくらみはうまくいくのか否か。
江戸時代、俳句を文学として大成させた松尾芭蕉の句を味わうとともに、身近な発見を五七五の十七音で表す楽しさを伝える、俳句テーマの創作落語絵本です。
【編集担当からのおすすめ情報】 松尾芭蕉の生誕地・三重県伊賀上野では、芭蕉さんを敬愛し、小さなお子さんから俳句に親しむ取り組みが盛んです。 そんな三重県にゆかりのあるお二人が、この絵本の作者。 文は落語家の桂文我さん(三重県松阪市出身)、絵はいのぐちまおさん(三重県名張市出身)、お二人の初タッグ絵本です。
松尾芭蕉は有名人なので、あちこちで歓待を受ける。それをみたカッパは、芭蕉に化けて自分もご馳走にあずかろうと思ったが…
落語を聞いているとよく聞くような俳句ネタ。うっかりしていると聞き飛ばしている時もあるが、絵にしてみると本当に馬鹿馬鹿しい。耳できくユーモアが目で見る形に変換されるから、落語や古典の知識がなくても十分に楽しみ、味わえて便利だ。
芭蕉さんの有名な俳句を絵で表現したところは、素敵なイメージが立ち上がる。ユーモアとメルヘン、とんちが混ざったような独自の世界観が面白い。
松尾芭蕉、落語、カッパという言葉からして思い浮かぶイメージをよい意味で裏切る現代的な絵。漫画風のキャラクターは現代っ子向けで、愛らしい。昭和生まれでゲゲゲの鬼太郎で妖怪を知った私は、カッパというとおどろおどろしい印象が強いので、この絵本のようなかわいくて、せこくて、おバカさんのキャラクターだとちょっと肩透かしをくったような気持ちになる。だが、落語なので、ここは与太郎系の登場人物、ということで納得してみる。
このカッパは、大した悪さもせず、単にセコイだけなので全然怖くない。昔話や民話の河童はもっとアグレッシブに悪さ(というより犯罪)をして、人や馬を川に引きずり込んだり、尻子玉を取ったりして怖かった。カッパも時代とともに、ずいぶん物分かりがよくなり、となしくなり、小物になった。平和になった、ということだろうか。そのうち飼いやすいペットとして登場しそうだ。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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