子どものころの、宝もの。 おとなに価値はわからない、とくべつなコレクション!
ビンの王冠、どんぐり、牛乳キャップ。 覚えがありますぼくらにも……!
これは、そんな宝ものを集めるのが好きな男の子「ミッチ」がであう、ひと夏の物語——
ある夏の日、クジラにそっくりの木のかけらを拾ったミッチ。 さっそく、じまんの「道ばたコレクション」にくわえたのですが、うっかりその上に麦茶をこぼしてしまいます。
すると、木のかけらはピチピチと動きだして、なんと、ちいさな本物のクジラに変身! ある特徴から「セミクジラ」と命名して、飼い始めたミッチ。正体不明のふしぎなクジラの飼育に、考えをめぐらせ、いろいろなことを試しながら奮闘していきます。
けれども、クジラはだんだん元気がなくなってきて——
ミッチの拾ったクジラは、ただちいさいだけではありません。 よろこびをあらわして潮をふいてみたり、イルカみたいにとびあがる芸をおぼえたり、 そして物語の最後には、まるで予想のつかない魔法のような光景を見せてくれるのです!
ひと夏に見た、幼い夢か、幻か……。 セミクジラのふしぎな生態や、それを金魚鉢で飼う光景など、どこか幻想的な味わいのある物語。 見たことのないはずなのに、なんだかとても懐かしく、ロマンチックな気持ちにさせてくれる一冊です。
そして、そんなミッチの夏を飾るのは、コマツシンヤさんが生み出す、ラムネのように清涼感のあるイラスト! 「道ばたコレクション」について描いたページのイラストは、ミッチのわくわくした気持ちまで色にとけているようにあざやかです。 表紙をながめているだけで、さわやかな風にふかれているような心地に……。
「ミッチの道ばたコレクション」とシリーズ名のついた今作。 イマジネーションにあふれたミッチのふしぎな拾い物が、これから増えていくのでしょうか?
(堀井拓馬 小説家)
なんでもあつめるのがすきな ミッチがある日、ひろったのは クジラのかたちをした 木のかけら。 それが、ふしぎな夏の はじまりだった。
ミッチは、花の種やきれいな石ころなど、道ばたでひろったものをコレクションしている男の子。いまはセミのぬけがらを集めています。 ある日ミッチは、クジラのかたちをした木のかけらをひろって、家に持ちかえりますが、うっかり麦茶をかけてしまいます。すると、それはちいさなちいさなクジラになったのです! セミのぬけがらを食べて、「ミーンミン」と鳴くので、<セミクジラ>と名付け、ミッチはお父さんといっしょにそのクジラを飼いはじめます。でも、クジラはだんだん、元気が無くなってしまい……。
考えたミッチは、セミクジラのために、あるものを探すことにします。
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たからばこの なかには、ぼくが 道ばたでひろった、いろんなものが はいっている。 宝石みたいに キラキラしたビーズ、しまもようの 石ころ、 ドクロマークの 絵がかいてある ビンのふたに、みかづきがたの 花のたね、 ほかにも たくさんたくさん。
どれもみんな たいせつな、ぼくの 道ばたコレクションだ! (本文より)
小学校低学年のお子さんの夏休みの1冊としても、ぴったりな児童書です。
児童書といってもイラストも多く、大変読みやすく楽しめると
思います。
大人にとってはくだらないというものでも、子供にとっては宝物ってたくさんあるんですよねー。 (まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子11歳)
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