ある夜、サンフランシスコの活気あふれるジャパンタウン近くで、一家全員が射殺される事件が起きた。 サンフランシスコ市警は、現場に残された唯一の手がかりの解読をジム・ブローディに依頼する。 それは血にまみれた紙片に記された一文字の漢字であった。 ブローディもその手がかりを読み解くことができない。だが、同じものを以前にも見た覚えがあった ──4年前に妻が住宅火災で亡くなった現場で。 アジアに広がる人脈と堪能な日本語を携えて、ブローディはあたかも完全犯罪のような事件の解決に乗り出す。 それと同時に、妻の悲惨な死は、本当に単なる事故に過ぎなかったのかどうか探っていく。 彼の捜査は、愛着のあるサンフランシスコを離れ、日本の権力の館がひしめく東京、そして日本の片田舎にまで及ぶ。 数世紀に遡る陰謀と秘密が絡み合った謎を解き明かした時、ジャパンタウンの殺人鬼は新たなターゲット ──ブローディの娘──を選んで報復に出る。
バリー・ランセット(Barry Lancet) アメリカの小説家。講談社インターナショナルに勤務後、米国で本格的な執筆活動を始める。 『ジャパンタウン』は〈私立探偵ジム・ブローディ〉シリーズ第1作。 続刊に『Tokyo Kill』『Pacific Burn』『The Spy Across the Table』(いずれも邦訳未刊)がある。
白石朗(しらいし・ろう) 翻訳家。キング、グリシャム、デミル等、ミステリ、ハードボイルド系作家の翻訳を多数手がける。
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