アジアの“仏法”から世界の“Buddhism”へ――。
西洋が提示した新たな世界観は、日本仏教に何をもたらしたのか? 日本近代仏教の革新者たち12名と西洋との交錯から、仏教再編の歴史をさまざまな局面で読み解き、日本仏教にとって「西洋化」とは何であったのかを、本格的に問うた国内外の研究者らによる初の試み!
【主な内容】 T 伝統と国際化 東陽円月――非公式ハワイ開教僧たちの師匠(菊川一道) 前田慧雲――本願寺派宗学と西洋の対峙(内手弘太)
U 留学と翻訳 南条文雄――近代仏教学と宗学のはざまで(嵩宣也) 高楠順次郎―日本人の近代仏教学(碧海寿広) 木村泰賢――大乗仏教のゆくえ(川元惠史)
V 科学との対話 島地黙雷――近代日本の科学と宗教(ハンス・マーティン・クレーマ) 原 坦山――身理的禅と実践の探究(ステファン・リシャ/碧海寿広訳) 釈 雲照――戒律復興への見果てぬ夢(亀山光明) 忽滑谷快天―常識宗と宇宙の大霊(吉永進一)
W 普遍性と固有性 釈 宗演――「普遍主義」との戯れ(ミシェル・モール/佐藤清子訳) 中西牛郎――「新仏教」の唱導者(星野靖二) 小泉八雲――怪談の近代(大澤絢子)
****************** 各論文の主役として登場する人物は、僧侶では、浄土真宗(本願寺派・大谷派)が四名、曹洞宗が三名、臨済宗が一名、真言宗が一名である。その他は、本願寺派と関係が深いが俗人の高楠、やはり本願寺と関わりが強かったが、同派と決別し天理教などにコミットした中西、そして、宗派とは特にかかわりのない八雲だ。それぞれ帰属先や信念に関しては多様な立場にあったわけである。とはいえ、彼らは誰もが、広い意味での改革の意志を強く持っていたように思う。 そうした改革への強い志向性が、彼らを西洋世界へと結びつけた。その結びつき方は、視察・留学・読書・対話・論争・布教など様々である。それら多種多様なアプローチを通して、明治以降の日本仏教は、西洋世界とともに改革されていったのだ。 そして、現在の日本仏教もまた、彼らのような革新者たちが挑んだ冒険の後を歩んでいる。それらは果たして、いかなる冒険だったのか。本書でその詳細を確かめてもらいたい。(「はじめに」より抜粋)
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