犬と彼女。よく似たふたり――
イングランド南部の村で生まれた由緒正しきコッカー・スパニエルのフラッシュは、著名な女性詩人エリザベス・バレットへの贈り物として、ロンドンへやってきた。病弱でひきこもりがちな主人の家で、やんちゃで自由を愛する犬フラッシュは少しずつ都会の生活になじんでいくが、やがてエリザベスの前にひとりの男が現れる。年下の詩人ロバート・ブラウニングとの恋愛、家庭における父親の支配、突如降りかかった犬泥棒事件とスラム街訪問、イタリアへの駆け落ち……。犬の目を通して、19世紀英国の詩人エリザベス・バレット・ブラウニングの日常と冒険を温かいユーモアと時に辛辣なウィットをこめて描いた、モダニズム作家ウルフの愛すべき小品。「犬好きによって書かれた本というより、むしろ犬になりたいと思う人によって書かれた本」。実姉ヴァネッサ・ベルの挿絵を収録。
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