三浦按針(みうらあんじん)のおはかがある塚山公園。そこはわんぱくたちの天国です。その公園をめぐって、カオルたちのグループと、マアちゃんたちのグループがあらそいます。少年たちのゆめはひろがって、自分たちで飛行機もつくりはじめますが……。(「わんぱく天国」)子どもの遊びとゆめを生き生きとえがきます。
佐藤さとるの自伝的要素を持った児童書です。最初に読んだのは中学生の時。今読み返してみると、昭和初期は子どもにとって自由な時代だったことがわかりました。
横須賀に住むカオルと二人のガキ大将・明と一郎との交流と、子どもたちがさまざまな遊びを通して生き生きと生活している姿が描かれています。
子ども同士で遊びを生み出して協力して、時には競い合って遊ぶ、そういう豊かな原風景があるということは、子どもにとってどんなに幸せなことだろうと思いました。この本には子どもの理想郷があります。
自伝的というだけではなく、子どもの遊びについても詳細な記述がなされているので、このまま「遊び図鑑」としても使えます。めんこ、凧の作り方、圧巻は飛行機作り。飛行機作りの発想は「おばあさんのひこうき」にも生かされているように感じました。
対象年齢は小学校の高学年と思われますが、大人も充分に楽しめる内容です。私も読み返して、かつて子どもだった時代を思い出しわくわくしました。
遊びは子供の主食という言葉を思い出しました。テレビやゲームのない時代には、子どもたちが遊び方を工夫して作り出していたという姿がとても羨ましい光景として感じられました。大人として今の子どもたちに自由な遊び場がないのを残念に思いました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子5歳)
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