父親の暴力、それを受けいれる母。そんな家族からから逃れるために、障害を持つ姉とともに家を出た11歳の少女・ヴィジ。ホームレスとして生きのびるため、知恵と友情で道を開いていく。インドを舞台とした喪失と再生の美しさと力強さに、心を揺さぶられずにはいられない。
2020年ゴールデンカイト賞(Young Reader and Middle Grade fiction部門)受賞!! WNDB(書籍の多様性を求める会)による2020 The Walter Award (青少年部門)受賞!
●著者紹介 パドマ・ヴェンカトラマン インド、チェンナイ生まれ。若い時からCWC(The Concerned for Working Children)というNPO組織にかかわり、恵まれない子どもたちのために活動している。CWCは2012年、2013年、2014年にノーベル平和賞にノミネートされている。 19歳でアメリカへ渡り大学で海洋学を専攻。作家としてはYA作品を4冊出版しており、そのうち”Climbing the Stairs”(『図書室からはじまる愛』白水社刊)は2009年全米図書館協会「ヤングアダルトのためのベストブックス」に選出されている。
読み始めて、作者紹介を見たら『図書室からはじまる愛』のヴェンカトラマンだった。
父の暴力から逃れて路上で暮らす姉妹。主人公のヴィジは強気で賢く、姉のラクは何らかの障害があるが手先が器用。
カースト制の残るインド、路上生活を続ける子どもたちの生活は、生水を飲んだり、ゴミの中から食べ物を探したり、行きついた仕事は廃棄物の中からリサイクル品を探すこと。
ただ、仲間たちと助け合い、必死に生き延びようとし、物乞いは受けず気丈に振る舞う姿勢には、暗さはない。
子どもたちに未来と救いが感じられる結末にはほっとさせられるが、路上生活を送る子どもが何百万人もいるインドの現状には、一体何ができるのだろう。 (はなびやさん 50代・ママ 男の子19歳)
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