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絵本作家、かこさとしさんの幼年童話が存在していたなんて! この本の存在を知った時には、とびきりの宝物が届いたような気持ちでたまらなく嬉しくなりました。 きっと私と同じように感じるかこさんファンの方がたくさんいることでしょう。
くもとり山で小さな病院を営む、ぼうぼうかみの毛のイノシシ先生。 山のけものや鳥たちは、具合が悪くなるとみんな、イノシシ先生のところにやってきます。 まず最初は、たぬきのポンたくんが、お腹が痛いと言って母さんたぬきに連れられてやってきましたよ。 「ふんふん、ポンポがいたかったの。で、夕ごはんは、どんなもの、たべましたか?」 外見はこわめのイノシシ先生ですが、しゃべるととっても優しいお医者さんです。 はじめの質問から食べたものが原因ではなさそうだと分かると、 「きのうは、なにか、うんどうをやったかね?」 「ほう、がくげい会では、なにをしたんだい?」 「ほほう。どんなうた?」 と次々に質問を編み出して、お腹が痛い原因を突きとめてゆきます。
イノシシ先生の素敵なところは、動物たちの話を丁寧にじっくりと聞いていくところや、動物たちの様子をじっくりと観察するところでしょうか。何気ない話をしているようでありながら、ちゃんとつらい症状の原因に繋がっていったり、具合が悪そうなところをあらたに見つけてくれたり。時にはどこか科学のような治療法も出てきて、かこさんらしさが感じられる場面も。 また、働き者のうさぎのかんごしさんや、ちょっと頼りないブタのわか先生のキャラクターにもぜひご注目を。ブタのわか先生にイノシシ先生がかける「どんなときでも、かんじゃさんのことをしっかりみて、ちりょうしなければなりませんぞ」の言葉にはぐっとくるものがあります。4歳ぐらいから読んであげたいお話ですが、大人の心にも間違いなく、じわじわ効いてくるものがありそうです。
こちらは、もともとは月刊雑誌「母の友」で2011年11月から2019年7月までの間に掲載されたお話だとのこと。かこさんが生前、愛情をこめて書き続けていたお話なのだそうです。表紙をよく見ると、絵のところになかじまかめいさんというお名前があるのですが、なかじまかめいさんは、かこさんのお孫さんで、今回、単行本化されるにあたり、新たな絵を描き加えられたのだそうです。かこさんのお話と絵にとってもマッチしていて素敵な世界を作り上げて下さいました。
ぼうぼうかみの毛のイノシシ先生の7つのお話は、かこさんが残して下さった数多くの名作絵本と同じように、これからずっと子どもたちに愛され、後世に残っていくことでしょう。
手に取ると小ぶりでとっても可愛らしい1冊。ぜひ、おやすみ前のひと時や、ちょっとした待ち時間(病院の待ち時間なんて特に良さそうですね)などに、親子で一緒に楽しんでみて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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山のふもとに小さな病院がありました。院長のイノシシ先生は体が大きくて、おまけにモジャモジャかみの毛の、こわい顔ですが、ポンポがいたいタヌキのポンちゃんも、くしゃみがとまらないカマキリさんも、みなこの病院にやってきます。イノシシ先生は、やさしく話を聞きながら、ときにあっと驚く方法で、見事、いたいところを治してくれます。絵本作家・加古里子さんによる、ユーモアとあたたかさのある幼年童話。短いおはなし全7話。
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たぬきのお母さんと子どものポンちゃんは、イノシシ先生の病院にやってきました。イノシシ先生は、おなかが痛いというポンちゃんのおなかをゆっくりさすって原因を調べます。かこさとしの作品になかじまかめいさんの絵が加わり、どこか懐かしいような、そして何より温もりを感じられる1冊です。7つのお話が入っていて、幼年童話を読み始めたお子さんも無理なく楽しめると思います。 (ぼんぬさん 40代・ママ 女の子4歳)
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