時間の不思議の先には、空間論の不思議があった! 時間の不思議に思考をめぐらせる「時間論」。時間を追究していけば、空間の謎に直面することとなる。 私たちが、あってあたりまえだと思っている空間は、本当に実在しているのだろうか? 物理の根本原理にして、時間と空間を同じ次元で扱う相対論。その本質を直角三角形のピタゴラスの定理で咀嚼するなど、予備校のカリスマ講師ならではのシンプルな解説で空間の謎に迫る。 この試みは、さらなる時間の不思議や、時間・空間と生命の関係にまで拡がっていく。 ポスト時間論としての「空間論」がここに開拓される。
【目次より抜粋】 第1章 相対論がわかれば、時間と空間の不思議がわかる 相対論なくして文明生活は送れない/ホテルから駅まで何分かかる?/ 第2章 光速で動けば時間は止まる 光速より速く動けるか?/ロケットに乗った人から相手の時計を見ると?/ 光速は誰から見ても一定/ 第3章 さらに不思議な一般相対論 加速し続けるロケットは光速に迫れるか?/ブラックホールへ落下するA氏/ 時間と空間は幻影である/ 第4章 空間と時間の哲学的考察 空間と時間はこの宇宙の「器(うつわ)」/心の中に空間はあるのか?/ 時間は流れない?/未来からの光はなぜか届かない/パラパラ漫画はなぜ動くのか? 第5章 物質と生命の狭間 拡散した赤インクは元に戻るか?/不可逆現象と時間の矢/モノの動きは記憶が生み出す 第6章 生命と時間の流れ 時間は生命の中に/過去と未来は峻別されているのか?/生命は負のエントロピーを食べる/最初の生命が生まれた環境/生きる意志をもつ分子機械/ オートポイエーシスに欠けている時間の発見 第7章 物質が空間を作り、生命が時間を創る 万物の理論/宇宙の階層構造/無意識と自己意識の階層構造/ふたたび実在と幻影(イリュージョン)について/未来からの光が見えない理由/ハードSFの発想か?/
【著者略歴】 橋元淳一郎(はしもと・じゅんいちろう) 1947年、大阪府生まれ。東進ハイスクール講師、SF作家、相愛大学名誉教授。日本時間学会会員、日本SF作家クラブ会員、日本文藝家協会会員、ハードSF研究所所員。京都大学理学部物理学科卒業後、同大学院理学研究科修士課程修了。わかりやすい授業と参考書で、物理のカリスマ講師として受験生に絶大な人気を誇る。著書に『時間はどこで生まれるのか』(集英社新書)『シュレディンガーの猫は元気か』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)などのほか、参考書『物理橋元流解法の大原則』シリーズ(学研プラス)など多数。
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