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岩波少年文庫は1950年のクリスマスの創刊以来、途切れることなく刊行され続けてきた。過去の資料を駆使し、各時代に書かれた著名人のエッセイも織り交ぜながら、70年のあゆみを振り返る。代表作と作家の解説、挿絵画家の逸話、翻訳者の仕事にも光をあて、少年文庫の全容を紹介する初の保存版。カラー口絵4頁、総目録付き。
岩波少年文庫が創刊されたのは、1950年12月25日。
ということで、昨年2020年に創刊70年を迎えました。
この本は、70周年を記念して、岩波少年文庫の別冊として刊行されたものです。
創刊時出たのは『宝島』『あしながおじさん』『クリスマスキャロル』『小さな牛追い』『ふたりのロッテ』の5冊。
以来、70年の時を経て465点の作品が刊行されています。
平均すれば、1年あたり7冊に少し足りませんから、けっして多くはありません。
というのも、1960年代には新刊をほとんど出していなかったそうです。
この当時は児童書でも全集や作家の作品集などの出版が盛んで、岩波少年文庫のような小型で地味なシリーズは人気がなかったようです。
この本では、そういった少年文庫のあゆみを年代を区切って解説していて、それは同時に児童文学の歴史のある側面も語っていることになり、資料として残しておくべきものになっています。
その他、少年文庫の代表作を解説した章はブックガイドとしても役立ちますし、「翻訳の妙味」という章では創刊時に「翻訳は原作に忠実に、美しい平易な日本語に」を心がけた少年文庫ならではの読み方だと思います。
まとめ的に綴られた最後の章「昔も今も」の中に心に沁みるいい文章がありました。
「本はすばらしい、本が自分の人生にあってよかった、と思っている大人は、自分が体験したそのすばらしさを子どもに渡す役割がある。」
この本は岩波少年文庫の一冊ですが、ぜひ大人の人にも読んでもらいたい作品でもあります。 (夏の雨さん 60代・パパ )
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