甘くて香り高くタネがなくて食べやすいバナナは、日本人がもっとも食べている果物。栽培が始まったのは紀元前8000年、人間とのつきあいは1万年に及ぶ。もともとバナナにはタネがあったが、突然変異で生まれたタネなしを人間がふやしてきた。株分けでどんどん増えるバナナは熱帯では1年で大きく育ち、たくさん実る。熱帯アジアやアフリカでは料理用バナナ(甘くないバナナ)を主食や酒にし、また葉や繊維も利用してきた。自給作物だったバナナは大航海時代を経てアメリカ大陸に伝わり中南米で労働者の食料として栽培され、19世紀になるとアメリカの会社が中南米で大規模農場をつくり、プランテーションを生み出す。本書は、食べものとして身近なバナナの、甘くておいしくて栄養があるだけじゃない姿を絵と写真で伝える絵本。自分で育ててみることで生育の早さを実感し、バナナが曲がるしくみを自分の目で確かめ、葉を使った蒸し焼き料理やかごをつくりバナナと人間とのつきあいを追体験する。
2021年刊行。バナナの特徴や、種類、食べ方・料理、歴史、栽培方法、流通など、バナナについていろいろ教えてくれる絵本。
たくさんの写真や楽しい絵、バナナの皮に絵を描いた「バナナアート」などがカラフルで楽しい雰囲気の絵本。
だが、バナナの流通や栽培の歴史は、楽しくないことが多い。
バナナという商品をめぐって、一部の企業だけが儲かる仕組みや、環境汚染、労働者への搾取などもあり、今もって問題が解決されていない。
見ているだけで愉快な気分になり、食べやすくて甘くておいしいバナナの裏側には、たくさんの人の苦しい物語もあった。
とはいえ、たくさんの楽しい話もあった。バナナは木ではなくて、草だった。日本にもバナナが意外と江戸時代からあって、松尾芭蕉の名前の由来になったとか。松尾バナナ。吉本ばななや東京ばななみたいでなんともかわいい。俳句を見る目が変わりそうだ。
料理用のバナナは、実際に食べてみないと、あの独特の感じはわからない。こういう外国の果物の写真がいっぱい載っている本を見ると、ワクワクして楽しい気分になってよい。
バナナは平和利用してもらいたいと思った。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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