ミッチが大事にしているたからもの。名づけて「道ばたコレクション」。 道ばたで見つけた、めずらしい形や色をしているたくさんのものたちが、おじいちゃんからもらった「たからばこ」に詰まっています。
今回「道ばたコレクション」に加わるのは、「ラッパ貝がら」。家族で遊びに行った海で拾ったものです。貝がらはミッチの手よりも大きくて真っ白で、あなのまわりが花びらみたいに広がっています。楽器に似ているので、「ラッパ貝がら」と呼ぶことに。ラッパ貝がらは光があたると虹色に輝いてとてもきれい!
家に帰ったミッチは、貝がらをたからばこにしまう前に、机の上にかざることにします。 するとその夜、なにやらとてもきれいなうたごえが聴こえてきて‥‥‥。
「ねえ、なかに だれかいるの?」 ためしに呼びかけてみると、ぴたっ、とうたがとまってしまいました。
「もしかすると うたっているのは、とてもこわがりで ひとみしりな 女の子かもしれない。」 おとうさんにそう言われたミッチは、やさしい声で毎日少しずつ話しかけます。
貝がらの中にいる女の子って、やっぱりこびとなのかな。それとも貝がらのようせい? もしかして、おばけだったりとか? そんなことを考えながら眠りについたある夜のこと、ミッチが目をあけるとそこは真っ白などうくつの中でした。 ラッパ貝がらの中らしいその場所で、ミッチが出会ったのは、いったいどんな子だったのでしょう?
今回のお話は「道ばたコレクション」シリーズの3巻目。どの巻からでも自由に読めるシリーズですが、大きな魅力は、「道ばたコレクション」に追加されていくちょっと変わったアイテム。それは、不思議を巻き起こしたり、新しい友だちと出会わせてくれたりと、ミッチの大切な思い出となっていきます。
ミッチの不思議な体験を自然に共有してくれるおとうさんの存在も、このシリーズの素敵なところでしょう。本を書く仕事をしているおとうさんはどんなことが起きてもそのままを信じて、いつもミッチと同じ目線で話をしてくれるのです。親とも不思議な体験や出来事を共有できるというのは子どもたちにとって嬉しいポイントですよね。
児童文学作家の如月かずささんが描き出すひと夏のファンタジー。軽やかで楽しく読みやすいお話は、小学1、2年生から読める易しさです。爽やかなブルーが印象的で、どこか懐かしいようなコマツシンヤさんの挿絵もお話とぴったり合って、日常の世界からひょいと不思議な世界へと誘ってくれます。
さあ、ページをめくって、ミッチと一緒に不思議な体験をしてみませんか。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
ミッチ が 海でひろったのは にじいろにひかる 貝がら。 夜になると 貝のなかから ちいさなうたごえが きこえてくる。 いったい だれの こえなのかな? ふしぎな ともだちとであう シリーズ第3弾!
ミッチは、花の種やきれいな石ころなど、道ばたでひろったものをコレクションしています。
ある日、家族であそびにいった海で、きれいな貝がらをひろいます。 ラッパに似たかたちで、にじいろにひかる貝がらです。 ミッチはすっかり気に入って家にもちかえり、机にかざります。 夜になると、なんとその貝の中から小さなうたごえが聞こえてきました。 ミッチは、うたごえのぬしと、ともだちになりたいと思うのですが……。
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どこからか、とつぜん 小さなうたごえが きこえてきた。とてもきれいな、女の子のうたごえだ。 びっくりしておきあがると、ぼくは くらいへやの なかをみまわした。どこから きこえてくるんだろう、このうた。そうおもって 耳をすませてみると、うたごえは つくえのうえに おいた、ラッパ貝がらから きこえてくるみたいだった。 ぼくは ベッドからおりて、ラッパ貝がらのあなに 耳を ちかづけてみた。うん、まちがいない。たしかに 貝がらのなかから うたがきこえる。 (本文より)
道ばたコレクションシリーズ、面白いですね。
小学校低学年のお子さんの夏休みの1冊としてもいいですね。
イラストも豊富なのでわかりやすいです。
貝殻、これはもう海辺に行ったら拾っちゃいますよね。
ファンタジックなストーリーも楽しいですね。 (まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子11歳)
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