ゆっくりで、のんびりやさんの、たまねぎぼうや。 お母さんからは「はやく、はやく」っていわれている。 みんなについていくのも、いつも遅れがち。 よそ見をするとすぐまた遅れちゃう。
そんなたまねぎぼうやは、突然あらわれた怪獣に、お友だちがみんな逃げちゃったのに、気づかない。 「いっしょにあそぼうよ」「いいよ」って仲良くなったけど、お腹がすいていた怪獣は、たまねぎぼうやを「ちょっとくちのなかをのぞいてみて」って誘って……たいへん、食べちゃった! さあ、たまねぎぼうやはどうなる!?
ほのぼのしたタッチで描かれる、愛らしいたまねぎぼうや。 のどかにおはなしが進んでいくかと思ったら、怪獣の出現にどっきり、食べられてハラハラ。 でも最後は、思わぬたまねぎぼうやの力に、拍手喝采、すてきなハッピーエンドです。
小さなお子さんと楽しむのにぴったりのかわいい絵本。 もしかしたら、「たまねぎ、きらい」っていうお子さんもいるかもしれないけど、こんなたまねぎぼうやを見たら、仲良くなりたくなるんじゃないでしょうか。 ゆっくり、のんびりな子の個性を大事に、お友だちと手をつないで歩いていけたらいいな……と願いたくなるかわいい絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
たまねぎぼうやは、のんびりやさん。いつもみんなから、ちょっと遅れてしまうのを気にしています。 でも、突然現れたかいじゅうと仲良くなって遊んでいたら…。 自分も周りの人も知らなかった、隠れていた力に思いがけず気づくことってありますよね。 一人ひとりの個性を大切に認めあう喜びが、ほのぼのと伝わります。
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