コロナ禍の中、大きな反響を呼ぶ小説『ペスト』の原作者アルベール・カミュ。フランスが生んだ不世出の作家の全貌にせまる評伝の決定版が登場!
「フランス支配下のアルジェリアでの生い立ち」「第二次世界大戦中、パリでのレジスタンス活動」「『異邦人』など代表作の執筆過程」「プレイボーイとしての華麗なる女性遍歴」「サルトルとの論争」「ノーベル文学賞受賞の経緯」「突然の自動車事故死」など、多くのエピソードをちりばめながら、カミュの生涯・思想・哲学について多角的に論じる。
【目次より】(抜粋) 第1章 アルジェの青春―太陽と死の誘惑 沈黙がもつ絶対的な力への確信と希求/困窮のなかの歓喜/死の病・結核の影
第2章 闘う新聞記者―現実へのコミットメント 愛猫カリとギュラの魂/演劇と恋愛/世界の無意味さ―不条理の発見/言論統制との闘い
第3章 衝撃の作家デビュー―『異邦人』の世界 パリの孤独と『異邦人』の執筆/三島由紀夫が評するムルソー/「不条理」の発見
第4章 結核による追放―シーシュポスとは誰か 『シーシュポスの神話』刊行/人生という不条理との対決/『ペスト』の構想に着手
第5章 戦争への参加―レジスタンスの日々 不条理を前にしても「神にすがってはいけない」/不条理な運命を突破するレジスタンス
第6章 演劇人としての成功―『カリギュラ』の二重性 カミュ、原爆使用を批判する/戯曲『カリギュラ』との葛藤/『ペスト』への予感
第7章 小説家の賭け―『ペスト』の意味するもの ディスカッション小説としての『ペスト』/ペストは天罰か?/子供が苦しむ世界は愛せない
第8章 二度の舞台の陰で―『戒厳令』と『正義の人びと』 『デスノート』の先駆的作品/「死刑を容認することこそがペストなのだ」
第9章 ふたつの苦い戦い―『反抗的人間』論争とアルジェリア戦争 『反抗的人間』ついに完成/孤独と演劇への没頭/「カミュを銃殺しろ!」
第10章 早すぎた晩年―孤独と栄光の果てに 新作『転落』に込めた自らの苦悩/歓喜なきノーベル賞受賞/孤独との闘い、そして突然の死
【著者略歴】 中条省平(ちゅうじょう しょうへい) フランス文学者。1954年、神奈川県生まれ。学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授。パリ大学文学博士。フランス文学の評論・翻訳をはじめとして、映画、マンガなどの分野で執筆を続ける。『フランス映画史の誘惑』(集英社新書)、『マンガの論点』『世界一簡単なフランス語の本』(ともに幻冬舎新書)、『人間とは何か 偏愛的フランス文学作家論』(講談社)など多数の著書がある。
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