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いつからだろう。学校に来ると、ぼくは透明になってしまう。透明人間だ。誰かとおしゃべりすることも、一緒に遊ぶことも、ない。でも、今日は目の前に誰かの消しゴムが転がってきた。拾ってあげようかな……。
クラスのみんなから孤立してしまった少年の姿を描くこの絵本。教室にいる誰もが、彼の存在を気にかけることはない。その様子を見て驚く子もいるだろうし、共感を抱く子もいるのかもしれない。
けれど、ほんの少しの行動をきっかけに、彼の手が、足が、声が、みんなの目の前にあらわれていく。みんなが自分を見つめている。その時、彼に手をさしのべたのは……。
自分がそうしたい訳でもないのに、なぜか人は透明になってしまう瞬間がある。短くもないその時間を、どうやってがんばればいいのだろう。少年の心の葛藤を描きながらも、大事なのは、まわりの人の受け止め方なのだと作者は伝えてれるのです。よくがんばったね、よく耐えたね。そんな声が聞こえてきます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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ぼくのことは、だれもみえない。ぼくは、だれからもはなしかけられないし、だれともあそばない。ぼくは、クラスのみんな、だれからもみえなくなった。でも......。孤立した少年が友情の輪に戻るまでを描いた感動作。
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変わった雰囲気のイラストが気になり、手に取りました。
自分が透明人間に思えてしまうくらい孤独だなんて、辛いですよね。でも、ヨンウくんのような子って、意外に多いのかもしれません。
何か小さなきっかけがあれば、状況は変わるんだとわかります。無理のない設定が、逆にリアルで切実に思いました。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子12歳)
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