キクは魔女みならいの女の子。妹のスミレとユリと一緒に、魔女のお師匠さんから魔法を習っています。けれども妹たちがどんどん魔法が上手になっていくのに比べて、キクだけはちっとも魔法が使えるようになりません。
ある日、お師匠さんに花屋へのおつかいを頼まれたキクは、お師匠さんから人間なんかと仲良くしてはいけないこと、また魔女だということがばれないようにと言われ、町へと出かけたのですが‥‥‥。 途中でうっかり道に迷ってしまったキクに話しかけてきたのは、花屋の子ども、アイちゃん。花屋に案内してもらうと、一緒にクッキー作りをしようと誘われ、仲良くしてはいけないと思いながらもお腹がすいて、クッキー作りをすることに。
魔法を使えば一瞬でできるとお師匠さんが言っていたおかし作り。一方で人間のおかし作りは、材料の重さをはかったり、材料を温めておいたり、混ぜるのに時間がかかったり、手間がかかることばかり。でも、アイちゃんがおかし作りに大切なことを教えてくれて‥‥‥。
人間の考え方と魔女の教えの間でさまざま心が揺れるキクの姿がみどころです。自分は悪い魔女なのに、と思いながら、アイちゃんの純粋さにさまざま心が揺り動かされてしまうのです。実はこのキクは、『魔女ののろいアメ』『魔女のいじわるラムネ』『魔女のうらないグミ』のお話で、ムカムカがスッとするおかしを売ってくれる魔女のおばあさんの子どもの頃の姿。お師匠さんのように「魔女のおかし屋」を作って人間のおかし屋を困らせようという企みにもまだ乗りきれず、人間と友だちにはなれないのにアイちゃんのことがいつの間にか好きになっているようなキクがいじらしく、なんともかわいらしく描かれます。
草野あきこさんの読みやすくて楽しいストーリー展開と、全てのページに入っているひがしちからさんのユーモアあふれる挿絵で、小学1年生から易しく読めるでしょう。小学1年生から3年生ぐらいの子どもたちに特におすすめです。
『魔女ののろいアメ』『魔女のいじわるラムネ』『魔女のうらないグミ』、そして本書。どこから読んでも自由です。でも合わせて読めば、あのおばあさんが、こんなかわいい子だったなんて! と楽しさが倍増しちゃうはず。さらに、魔女のおかし屋を開くまでに幼いキクにこの後どんなことがあったのか、妹たちやお師匠さんはどうなったのか、いろんな想像が頭の中で広がっていきそうです。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
魔女みならいのキクは、町はずれにある家で妹のスミレとユリと一緒に、お師匠さんから魔法をならっています。妹たちはどんどん魔法が上手になっていくのに、キクはちっとも魔法が使えません。 キクは、お師匠さんに頼まれたおつかいの途中で、お花屋さんの子ども、アイちゃんに出会いました。アイちゃんは、一緒にクッキーを作ろうとキクを誘います。お師匠さんから、人間と仲良くしてはいけないと言われていましたが、大好きなクッキーを食べたいキクは、アイちゃんの家へ行くことにしました。 キクは、アイちゃんとクッキーを作り始めましたが、人間が作るお菓子は、材料をしっかりはかったり、入れる順番があったりと面倒なことばかりです。そして、キクが卵を落としそうになった時、あわてて指を向けると卵がキクの手元に戻ってきました。ついに魔法を使えるようになったのですが……。 『魔女ののろいアメ』などでお菓子を売る魔女の幼少期を描いた物語。
「魔女ののろいアメ」などに出てくる意地悪魔女が子どもだったときのお話でした。キクはアイちゃんと出会ったことで変われるのかと思ったのですが、変わっていないから「意地悪魔女」がいるわけで。「魔女のなみだのクッキー」の続きのほうが気になるお話でした。 (さくらっこママさん 30代・ママ 女の子8歳、男の子5歳)
|