日本の山には、神様の使いがいた。雷の鳴る日に姿をあらわし、自由自在に空を飛び、季節によって姿を変える。 その名は、神の鳥ライチョウ。
ライチョウは、日本の特別天然記念物に指定されている、高い山の上に生息する鳥です。古くから「神の鳥」として大切にされてきた歴史的な背景から、人間を怖がらず、とても近くで観察できるといいます。
前半では、著者が富山県は立山に通い撮影したライチョウの写真とともに、その特徴的な生態や生活の様子について描かれます。 ライチョウは夏、秋、冬と、季節によって羽が生え変わり、オスとメスでも模様に差があります。日本のほとんどの鳥は年に2回羽が生え変わるので、3回も姿を変えるライチョウは特別! そこに親鳥とは姿のちがうヒナも加われば、同じライチョウでも、羽模様のヴァリエーションはとても多彩です。 目の上を飾る、真っ赤なつけまつげのように見える肉冠。冬になると見られる、雪に溶け込む純白の羽毛。一年を通じてさまざまな変身を見せてくれるライチョウの姿をおさめた写真は、愛らしくも、神秘的です。 特に驚かされたのは、その足! 冬になると、寒さから足を守り、雪の上を歩きやすくするために、足が真っ白な羽に包まれます。足の裏まで羽毛で覆われるのは、日本の鳥ではライチョウだけだそう。 鳥の足というと、木の枝のように細く、硬いイメージがありますが、モフモフの白い毛の中から、ひゅっ、と鋭く黒い爪がのぞくライチョウの足の写真は、たしかに他では見られない、独特な可愛さがあります。
しかし、そんなライチョウも、絶滅の危機に瀕しています。
後半では、山梨県の北岳や動物園へと舞台を移し、絶滅の危機に瀕するライチョウを守るために戦う人々の挑戦を追います。 ライチョウの危機、その原因は地球温暖化。気温があがったことで、ニホンザルやニホンジカとライチョウの生息域が重なってしまい、エサの取り合いになっているのです。
「きびしい環境のなかで、長いあいだ平和にくらしてきた ライチョウが、人間たちの身勝手な生活のせいで いなくなるようなことは、ぜったいにあってはならない。」
日本で古くから愛されてきた特別な鳥、ライチョウ。迫力の写真でその魅力を発信し、地球温暖化への警鐘を鳴らす一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
日本の特別天然記念物、ライチョウ。高山帯にくらし、冬はまっ白な姿に変わることから、日本では古来より「神の鳥」として人々に敬われてきました。写真家の戸塚学さんは、はじめて出会ったときから、そのとりことなり、冬も春も夏も秋も、何十回と生息地の一つ、北アルプスの立山に通って、ライチョウの写真を撮りつづけています。そのライチョウが今、絶滅の危機にさらされ、保護活動もはじまっているといいます。なぜ? 戸塚学さんは居ても立ってもいられず、北岳の現場に向かいました……。ライチョウの1年のくらしと、ライチョウに迫る危機、そして保護活動の内容もわかりやすく紹介しながら、ライチョウの未来を考えていく写真絵本。
図書館のおすすめコーナーで見つけました。
立山に生きるライチョウを追った、写真絵本です。20年以上もライチョウの撮影を続けている著者さん。迫力のある写真ばかりで惹きつけられました。
地球温暖化の影響で、ライチョウの住む場所が失われつつあるそう。「むかし、日本の高い山には、ライチョウという美しい鳥がいてね……なんてことにならないように」というセリフにドキッとしました。 (クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子16歳、男の子13歳)
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