素晴らしき日本の自然「里山」のシンボル
自然が豊かな、里山の雑木林でしか出会えない、大きくて美しいチョウがいます。 その大きさと輝くような紺色の美しさは、見た人の心に強く焼きつきます。 オオムラサキは、日本の国蝶にも指定され、雑木林を代表するチョウですが、美しい成虫たちの命は一瞬の夏ともに尽きてしまいます。
けれども、次の世代の幼虫たちは、ゆっくりと育っているのです。 しかし、そんな幼虫たちに、天敵が容赦なく襲いかかり、多くの幼虫が命を落としてしまいます。
木々が幼虫を育て、それを食べて天敵も生きる。 それが、自然のありのままの姿です。
豊かな自然があれば、オオムラサキは食べ尽くされることはありません。
オオムラサキの一生を通して、素晴らしき日本の自然「里山」を考える写真絵本です。
【写真と文】筒井学(つついまなぶ) 1965年北海道生まれ。 1990年より東京豊島園昆虫館に勤務。 1995年から1997年まで昆虫館施設長を務める。 その後、群馬県立ぐんま昆虫の森の建設に携わり、現在、同園に勤務している。 昆虫の生態・飼育・展示に造詣が深く、昆虫写真家としても活躍している。
【編集担当からのおすすめ情報】 作者が長い年月をかけ、一年間かけて成長するオオムラサキの一生を追いかけました。成虫の美しさはもちろん、幼虫のかわいらしさも魅力的です。また、幼虫で越冬するなど、不思議な生態も紹介しています。
筒井学さんのオオムラサキと里山の一年の絵本を読むまで、こんなに可愛い幼虫がいるなんて知りませんでした。
もともと昆虫が大の苦手だったのですが、娘が昆虫を好きになったのを機に、親の私自身も昆虫が大好きになり、昆虫の本を書店で探している中で、こちらの絵本と出会いました。
幼虫たちの可愛いさが溢れる写真と、昆虫たちのありのままの姿、普通の絵本ではなかなか描かれない、昆虫たちの厳しい現実もきちんと描いて下さってるのがとても心に残りました。
子どもたちには話しにくい、でも現実世界では当たり前に起こっている厳しい現実を淡々とでもありのままを描いて下さっているので、絵本を通して子どもたちと話し合うことができました。
淡々と描いて下さってるからこそ、感情移入し過ぎずに、子どもたちと話し合いながら命とは…生きていくということとは…答えが出ない問題に向き合うことができたと思います。
そんな厳しい現実の中でもたくましく生き抜く可愛い幼虫たち、美しい成虫たち、本当に昆虫の魅力が溢れていて、最後のページの筒井さんの言葉がとても心に残る素敵な絵本です。 (komiさん 30代・ママ 女の子8歳、男の子5歳)
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