ヘンテコなものや、あやしげなものばかりが収められている、ここはブラウンストーン家、秘密の地下室。世界中の神話に伝わる品々や生き物が大切に守られている、ふしぎな場所。
今回描かれるお話は、その地下室に収められた、とあるひとつのモモの種をめぐる壮大な物語。怖いもの知らずな少女カイと、がんばりやで勇気のあるその母親ウェンが体験した、あの物語の前日譚──
ブラウンストーン家の親子カイとウェンは、世界中を冒険して、ふしぎなものたちと出会ってきました。しかしカイは、そんな冒険の日々すら退屈に感じてしまうほどの、冒険好き。
「もっと、ドキドキ、ハラハラするようなことがあればいいのにな」
そんなある日、親子の評判を聞きつけたとある村から、ウェンに手紙が届きます。それは、おそろしい怪物から村を救ってほしいという、助けを求める手紙でした。
怪物退治の方法を探るのを手伝うなかで、カイはある巻物を発見します。そこには、岩から生まれた猿の王についての物語が記されていました。猿は海を治める龍をも倒し、魔法を手に入れ、神さまとさえ戦ったといいます。この猿なら、きっと怪物退治を手伝ってくれる! カイは、猿に助けを求めるためにひとりで旅立ちました。
その猿の名は、孫悟空。
神話に出てくる生き物や品物を守るという使命を帯びた一族、ブラウンストーン家。その血を引く少年少女が、世界中に伝わるさまざまな神話の世界で活躍する「ブラウンストーンいちぞくのぼうけん」シリーズ、第3弾です。
北欧神話、古代エジプトとつづき、今度の舞台は「西遊記」。雲にのって自由自在に空を飛び回り、龍と戦う冒険に、さすがのカイも「こんなにたのしいことは、生まれてはじめて!」と大満足です。
しかし孫悟空といえば、三蔵法師だからこそ抑えることができていたともいえる、ウルトラわんぱくなお猿です。決して純粋な善の心を持つヒーローとはいえませんが……やっぱり、カイとの冒険でも一筋縄ではいきません。
わがまま、ごうまん、自分勝手! 怪物を倒すと約束しておきながら、孫悟空はカイに自分の冒険ばかり手伝わせます。 果たしてカイは孫悟空に約束を守らせ、怪物を倒すことができるのでしょうか?
だれもが知ってるあの壮大な物語に、隠されたもうひとつの冒険があった! 大胆な着想からひろがる壮大なストーリーに、目が釘付けです。
(堀井拓馬 小説家)
おかあさんとけんかして、ひとりでぼうけんにでかけたカイ。村をおそうかいぶつをやっつけることを条件に、おしゃかさまの手にとらわれたそんごくうをたすけたのに、そんごくうは、天でいちばんえらい神さま、天帝のモモをほしがってばかり。そんごくうともけんかしたカイは、かいぶつがせまる村へ、ひとりでもどりますが……。せかいの神話に出会うファンタジーえほん第3弾
ブラウンストーン家の使命は、神話にでてくる品物や生き物を守ること。家系図をみると、一族が地球のすみずみまで広がっていったことがわかる。そんなブラウンストーン家の冒険譚、第三弾は、孫悟空の世界。
怖いもの知らずの女の子カイと頑張り屋のおかあさんウェンの物語です。1冊目、2冊目と比べると、カイとお母さんの心のつながりというか、寄り添う姿にジンとしました。
同様、可愛くポップな絵と読みやすい構図がいいです。
孫悟空って、神話とも捉えられるのか…と思った1冊。
(こはこはくさん 50代・ママ 男の子13歳)
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