
「自(ずか)ら」という語があらわす日本人の基本発想とはどのようなものか。日本人の自己認識、超越や倫理との関わり、死生観を問うた著者代表作。 === 日本語において「おのずから」と「みずから」は、ともに「自(ずか)ら」とあらわす。成ることと為すこと、物と自己、自然と自由を意味するが、が截然と分けられず、両者には交差・共和・相克する「あわい」がある。そこに見られる日本人の基本的発想とは何であり、それはまたどのような思想文化を育んできたのか。本書は、思想・宗教・文学・芸能の諸領域を広く深く行き交いながら、日本人の自然と自己との相関的認識、超越と倫理との関わり、そして無常観と死生観を根源から問いなおす。倫理学者・日本思想史家である著者の代表作。 ===
日本人の発想のかたち 自然と自己の「あわい」を生き抜いた人々は何を体現していたか――。 日本思想文化論の傑作 ===
【目次】
序
I 第一章「おのずから」と「みずから」――日本的「自然(おのずから)」と自己 第二章無常と「おのずから」――日本人の現実感覚@ 第三章「古(いにしえ)」と「おのずから」――日本人の現実感覚A 第四章宇宙人生の「不可思議」さ――国木田独歩の覚めざる夢 第五章「おのずから」の捜索――柳田国男の「人生を自然の片端を観ずる練修」 第六章近代自己から「おのずから」へ――清沢満之の〈内〉への超越 第七章生と死の「曖昧」な肯定――正宗白鳥の臨終帰依 第八章「空即是色」の荘厳――「おのずから」と「みずから」の「あわい」の輝き
II やまと言葉で哲学する――「おのずから」と「みずから」の「あわい」で考える
III 総括「おのずから」と「みずから」の「あわい」
あとがき 文庫版あとがき
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