本書のテーマは、数学を学ぶ多くの中学生がつまずきやすい「図形の証明」です。
計算や図形が得意だった小学生も、中学で学ぶ「証明」には戸惑うことが多いものです。すでに知っていることだし、図を見ればすぐにわかることなのに、どうしてわざわざ「証明」をしなくてはいけないのか。そんな疑問を持ち、混乱しがちです。 また、書かれている証明を読んで理解するだけではなく、自分で証明を書く段階になるとさらに困る中学生もいるでしょう。何を書かなければいけないか、どうしてそう書くのかがわからないからです。その結果として、自分で証明を理解するのではなく、問題のパターンを暗記してしのごうとし、やがて数学が嫌いになり、苦手になる危険性があります。 本書では「三角形の合同」を中心に、初学者にとって大切な内容が語られます。三角形の合同条件、二等辺三角形、正三角形、直角三角形、平行線の錯角と同位角などに関係した問題を対話形式で解きながら、一歩一歩考えを進めていきます。 本書では、高校生の「僕」と中学生の二人の女の子がていねいな対話を重ねて、数学の学び方を解きほぐしていきます。何のために証明をするのか。定義を確認することがなぜ大切か。どのような書き方がいいのか。その理由は何か。そんな本質的な話題に迫ります。さらには、未知の問題に出会ったときにどのように手がかりを見つけるか。自分自身との対話を通じて考えを進める大切さを体験します。 本書に登場する女の子「ノナちゃん」は、「学ぶこと」特に「自分で考えて学び、疑問を解決していくこと」が苦手なのですが、物語が進むにつれ「わからないときに質問することや、自分の考えを表現すること」を試みるようになっていきます。
本書は、図形の証明が苦手な中学生や、数学に苦手意識を抱いて困っている高校生はもちろんのこと、数学を教える立場にある教師や講師、また中高生の保護者にとっても発見の多い一冊となるでしょう。
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