
東京の住宅街にあるホームホスピス「楪」。 ここは病や障がいがあっても、 最期までその人らしく暮らせる家、 「もうひとつのお家」です。
介護が必要な人たちが、 「とも暮らし」をしています。 喜代子さんも、がんという 重い病気をかかえて、やってきました。
病院では食欲がなかったのですが、 ここにきて、みんなで囲む「お家」の食卓に、 喜代子さんの食べる量がふえていきました。
先に入居していた 清子さんとの出会いもあり、 ギクシャクしていた二人が、 いたわり合っていく姿に 周囲も心うたれます。
やがて喜代子さんは、 清子さんに看取られて、旅立ちました。
「なに寝てんの。 らっきょう買ったから、食べましょう」
つめたくなった喜代子さんの手を、 清子さんがあたたかく包みました。
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