
東京の郊外に暮らす清子さんは、 夫をがんで亡くしてから、 自宅で一人住まいをしていましたが、 やがて娘さんたちが泊まるようになりました。
しかし、娘さん夫婦にとって、 仕事や家事をしながら親の介護することは、 かんたんではありませんでした。
そばにいたいけど……、もう無理。
そう思っていたとき、ホームホスピス「楪」 という、病や障がいがあっても、 最期までその人らしく暮らせる、「お家」が 近くにできたことを知り、やってきました。
はじめは、家を追い出されたようにも感じた そうですが、新しいお友だちとなかよくなり、 娘さん夫婦とも深く理解し合えるように なっていきました。
清子さんが息を引き取るとき、 娘さんは、添い寝をしながら看取りました。 自宅では介護しきれなかったけど、ここで、 母が望むようなときをすごせたそうです。
不思議な満足感と幸福感――。 「母とすごした最後の日々は、 夢のような時間でした」。
|