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まる ありがとう

まる ありがとう

著: 養老 孟司
写真: 平井 玲子
出版社: 西日本出版社

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税込価格: ¥1,320

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作品情報

発行日: 2021年12月02日
ISBN: 9784908443671

176ページ

出版社からの紹介

2020年12月21日、まるが天国へ旅立ちました。
養老さんは愛猫まると18年の時間を過ごし、その様子はNHKの「まいにち、養老先生、ときどき まる」でおなじみとなりました。
まるを自分自身の「ものさし」と語ってきた養老さん。まると過ごした日々、まるの死を通じて養老さんは、意識中心で頭でっかちになりがちな人間社会の危険性や、生き物にとって大切な感覚の世界について改めて思索を広げ、その視点は独自の「自足」論として本書で展開されます。
まるとの出会いと日常、生きていく術、死、ペットロス、生き物らしさなど、かけがえのない存在だったまるの死に直面して考えたことを、養老さんが語りつくしました。

まるの写真114枚掲載
まるに寄り添い、写真を撮ってインスタグラムやブログにアップしてきた、養老さんの秘書平井さんのエッセイも掲載しています。

 「ものごとを理屈にすることに長年励んできた。八十歳を十分に超えてみると、バカなことをしたものだと感じている。理屈で説明しようがするまいが、ものごとが変わるわけではない。その意味では、理屈にすることは一種の虐待であって、何に対する虐待かというなら、「生きること」に対する虐待であろう。まるは理屈なんか言わず、素直に生きて、素直に死んだ。いまでも時々しみじみ会いたいなあと思う。また別な猫を飼ったら、といわれることがあるが、それでは話が違うのである。まさに一期一会、かけがえがないとは、このことであろう」(本書 まえがきより)

「まるがいなくなって、ほぼ一年になる。まだついまるを探す癖は抜けない。まるが好んで寝転がっていた縁側に目が行く。ポンと頭を叩いて、「バカ」というと、少し迷惑そうな顔で薄目をあける。それができなくなったのが残念である。ときどき骨壺を叩いてみるが、骨壺の置き場所が、まるがふだんいたところと違うので、なんだか勝手が悪い。
「安らかに眠れ」というのが欧米の墓碑銘の紋切り型らしいが、いつも寝てばかりいたまるの墓碑銘としては、屋上屋の感がある。カントの著作『永遠平和のためにZum Ewigen Frieden 』はカントがどこかの墓碑銘から採ってきたといわれるが、このほうがいいかもしれないと感じる。みんながまる状態になれば、まさに世界は平和であろう」(本書あとがきより)

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