オーストラリアの人里離れた入江で母親のドラと暮らす少年エイベル。自然のめぐみだけが頼りのきびしい生活ながら、海の大好きな親子はみちたりた日々をおくっていた。入江にすむ巨大な青い魚ブルーバックと出会ってから、エイベルの日々はいっそう輝きを増す。 やがてエイベルは都会の学校へ進学、故郷の海とブルーバックのすがたをいつも心にいだきながら、海洋生物学者となる。一方、母ドラがひとりで守る入江には、さまざまな災厄がふりかかる。暗礁を根こそぎにする漁師の出現。リゾート化計画。タンカーの座礁。やがてドラは海を救うために大きな決断をし、その志は息子のエイベルにひきつがれていく。 オーストラリアの自然をこよなく愛する作者が、子どもから大人まですべての年齢層の読者に贈る、「海の不思議」と希望の物語。
2008年度読書作文コンクール小学校高学年課題図書。
オーストラリアの静かな入り江に暮らすエイベルと母のドラの海での生活。
エイベルは、海に詳しい母に教えてもらいながら海中を知り、
大きな青い魚をブルーバックと名づけ、親しみを覚えるのです。
海に魅了された少年の心の動きや行動。
それにも増して、力強い母の精神力と行動力。
環境問題も織り込みながら、ブルーバックと少年の交流が描かれます。
そこには、母への愛情もしっかりと描かれ、嬉しくなってしまいました。
小学校高学年なら、きっとエイベルに共感できると思います。
読後感は立松和平さんの『海のいのち』に似ていました。
エイベルの成長をかみしめながら読んでほしいです。 (レイラさん 40代・ママ 男の子14歳、男の子12歳)
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