〈人間はそれ自身、一個の新しい始まりとして世界の内に現われるが、だからこそ、この誕生性ゆえに人間には行為という天分が与えられたのである。というのも、どんな行為も、つまり「何かを動かす」という根源的な意味でのどんな「活動する」ことも、始める者たちという観念を、いやそれどころか始める者たちの実存を、前提しているからである。歴史上の時間が連綿と続くなかで新しい始まりが生ずる、ということを最終的に告げ知らせてくれるものこそ、革命にほかならない〉
アメリカ革命とフランス革命の考察を中心に、創設の意味、代表制や評議会制のあり方など、「新しい始まりはいかにして生じるか」という著者の根本的問題意識が全体を通底する主著の一つ、『革命について』のドイツ語版からの新訳である。アーレント自身が英語から母語に翻訳したドイツ語版からの邦訳刊行は、著者の思考をより生き生きと伝えるものとして、本書およびアーレント理解に大いに貢献するだろう。
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