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幼い日々がせつなくいとおしい、幸福な記憶に。
たかどのほうこの作品を息子と読んできて、たかどのほうこ自身のことを知りたくなったので、読んだのがこの本です。
「月刊クーヨン」に掲載された作品に加筆・修正と書下ろしを加えたエッセイ集がこの本です。
作家になる人は、小さな頃のことをよく記憶していて、そのことが作家としての財産になるということを読んだことがありますが、一歳頃からの幼児期にあったお話が展開されていきます。
子ども特有の思い込みや理不尽に思っても言えなかったことなど、全く同じ経験がなくても、子どもの頃には似通ったようなことや消化しきれなかった思いなどが、読みながら蘇りました。
「従弟の誕生がそうだったように、偶然目の前に現れた誰かによって歪みが矯正され、解放されるということは、時折起こった」という箇所を読んだ時には、最近読んだ「キロコちゃんとみどりのくつ」を思い出しました。
エピソードを読みながら、この話はあの本に活かされているのかもと推理しながら読むのが楽しかったです。
人生を変えるような大きな出来事というようなことは、「記憶の小瓶」では描かれていませんが、小さな記憶の積み重ねが人を構成していくのだなということを感じることはできました。
作品を読んで、たかどのほうこののことを知りたくなった時にお勧めの一冊です。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子6歳)
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