人類史においてきわめて重要な時期である「3歳」。母親の膝の上から離れ(追放され)、仲間関係の世界へと足を踏み入れる葛藤に満ちたこの時期を、子どもたちはいかに生きているのか?――本書では、発達心理学者である父とその妻による観察日誌――じつに1000頁を超える詳細で膨大な記録――から、兄と弟のそれぞれの3歳を鮮やかに描き出し、発達的な意味を浮き彫りにします。誰もがかつて経験した波乱の1年間を追う本書の試みは、子どもたちの内面世界を生態学的に描き出した発達研究であり、同時に二人の子どもと周囲の生きたドラマともいえるものです。また、巻末には人類学者・高田明氏による他領域からみた解説を収録し、視野広く本書を考察。3歳の世界から「ヒト」の発達の面白さに出会える書。
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