今日もまた一日がはじまり、風が吹きわたる。 生きとし生けるものが、ざわめく風のなかでたわむれる。
どこから きたの? なに みてきたの? だれと あそんだの?
深い青、輝くような黄色、澄んだ水色。 光の加減で様々な色に変化しながら、風は優しく問いかける。
ページをめくるたびに、違う色に染まった画面が広がっていくこの絵本。添えられる言葉も最小限、景色もどこか抽象的。けれど、じっと見ているだけでこの場所を知っている様な気持ちになるのは、自然の中の見覚えのある色彩だから。動物たちの表情を見ているだけで、そこに吹いている風を感じることができるから。
今日も明日も明後日も。一年後も百年後も千年後もずっと。光はうつろいながら、風はめぐり、誰かが風に出会っていく。生きてこの世にあることの不思議さ、愛しさを見つめる、阿部海太さんの創作絵本。今日吹いた新しい風は……?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
風が起こり、吹き渡り、そしてやむ。ふたたび吹き始める。生きとし生けるものが、ざわめく風のなかでたわむれる。体に風を感じる時、命は自然の悠久の営みに触れている--。風が吹きわたる一日の情景を、光の変化と共にあざやかな色彩で描き、生きてこの世にあることの不思議さ、愛しさを見つめる、阿部海太の創作絵本。
この本を読ませて頂いて、とても感動しました。これは生きていることの喜びを教えてくれます。この本は風をテーマにしていますが、ひじょうに奥深いと思いました。私はこれまでの人生を振り返りながら、風の記憶を追い求めていました。私の大好きな村上春樹さんに「風の歌を聴け」というタイトルの小説がありますが、私はいつも風の歌を聴いていたような気がします。この本を読んでいるとほんとに生きていることが楽しくなります。ありがとうございました! (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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