パパと学校へ行くのは、わたしの一番好きな時間。学校への道のりは、まるで音のジャングル。パパとわたしはいつだって、手をつないで探検に行くの。
「パパ、あっちにパンダ!」 「ジャガー!ジャガーもいたよ!」
通り過ぎる車は動物みたい。海の音を聞いたり、つえをたたいてステップをふんだり。オウムの数を数えたあとは、ドキドキしながら横断歩道の川を渡る。
わたしの目はかすかに見えるけど、パパの目は見えない。でもね、パパはこの世界の誰よりもずっと、たくさんのものを見ている。パパはわたしのことを、「ぼくの ガイドさん」って言うけれど、本当はパパこそ頼れる「わたしの たいちょうさん」なの。
「わたし」の視点で語られる、パパとの大切な日常の時間。父親への強い信頼と、娘への深い愛情が、しっかりとつながれた二人の手、丁寧に交わされる会話のひとつひとつ、彩り豊かに描かれた美しい絵から伝わってきます。
2021年クアトロガトス財団賞受賞、2022年IBBY オナーリストに選出のスペインの翻訳絵本。視覚障がいのある娘と父親、二人の見ている世界を温かく包みこむ、楽しくて優しい一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
わたしの目は、かすかに見えるけれど、パパの目は見えない。でもね、パパはだれよりもずっと、たくさんのものを見てる――。 視覚障がいのある娘と父親は通学路をジャングル探検ととらえ、さまざまな想像を膨らませながら楽しく通学しています。行きかう街の車をパンダやジャガーなどの動物と見立てたり、横断歩道を大きな川にかかる橋と想像したり……。信号を待っている間の人混みのざわざわは、オウムたちの鳴き声のようです。 父親は、少し見える娘のことを「ぼくの ガイドさん」といいます。でも娘にとっては、父親こそが、頼れる「わたしの たいちょうさん」なのです。 「わたし」の視点で進むお話は「パパ」への信頼と愛情に溢れ、ふたりの強い絆が感じられます。美しい色彩で、父親と娘の温かな心の交流を描いた優しい気持ちになれる1冊。 2021年クアトロガトス財団賞受賞、2022年IBBY オナーリストに選出のスペインの翻訳絵本。
表紙などに細かなことは何も書かれてありません。初めはいろんな動物が絵が出ていたりするので、どんな内容の本かを知らないで読み始めたら、どこでパパとわたしの状況に気づくでしょうか。
ほかの人よりパパとわたしに信頼関係がないとこんなふうに安心して楽しめたりはできないのかな、などと心配してしまいますが、読み進めるうちにパパは案外苦労は感じていないのかもと思わせてくれます。
繰り返し読めば、その度にいろんな気づきや発見があって、心が豊かになる本だと思いました。 (よし99さん 50代・じいじ・ばあば 女の子0歳)
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