ずっと、まっていたんだよ
ここはきみの国、いっしょに冒険にでかけよう
大雨の日、ひとりでるすばんをしていた小学生の一平。
おじいちゃんの書斎の、古い机の下にもぐりこむと
いつのまにか、ふしぎな野原にまよいこんでいた。
そこでであった大きなウサギ、ウサキチは一平をキョチとよび、
キョチをずっとまっていたこと、そしてそこはキョチの国だという。
ふたりは、ウサキチがなくした、はねる力をとりもどすため、さいはて山へ旅に出る。
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心はずむ岡田淳の冒険ファンタジー。
:::::::::::::::::::::::: 「おそかったじゃないか。」 と、ウサギは、したしいともだちに不平をいうようにいった。 「おそかった……?」 ぼくは、おずおずとたずねた。 「いつまでまたせれば気がすむんだろって思っていたよ。」 「あのう、いつからまっていたの?」 「ずうっと、だよ。ずうっと。」 「ええっと、きみは、だれ?」 ウサギはもういちど目をまるくした。 「ウサキチじゃないか。きみがなまえをつけてくれたんだよ。わすれちゃったのか、キョチ。」
(本文より) ::::::::::::::::::::::::
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