そもそもの問題は、水がたりないことだった。 インド有数の大都会ムンバイ。12歳のミンニと15歳の兄サンジャイが暮らすスラムには、ムンバイの人口の40パーセントが住んでいるにも関わらず、水は市全体の5 パーセントしか供給されていない。水不足がきびしくなる三月のある夜、サンジャイが「水マフィア」を目撃してしまい……。家族の絆、友情、そしてインドの「今」を描く、勇気と成長の物語。
インドが舞台の児童文学として真っ先に浮かんだのは、『橋の上の子どもたち』である。この物語では路上生活をする子どもたちが描かれていた。
『スラムに水は流れない』では、家がある子どもの生活が描かれている。カースト制度の影響もあり、階層区分はまだ根強く残っている。
主人公のミンニは、成績が良く勉強することが好き。母は裕福な家庭で家政婦として働いていたが、肝炎になって療養が必要となる。インドの水事情は悪く水を汲みに行く必要があり、その水も飲料水として使用するには、煮沸である。
母が回復するまでの間、ミン二は家政婦として働くことになる。
12歳の少女が、学校へ通いながら大人がしていた仕事を引き継ぐのは生半可なことではない。ミン二を見守る友人の母や、パソコンの先生など包容力のある大人の存在が良い。
作品の中に出てくるロティはどのような料理だろう。まだ食べたことがないがおいしそうな料理名が出てくることから、子どもたちの興味を引きそうだ。
水マフィアの暗躍がありきな臭い場面も出てくるが、話は明るく一気に読ませる力がある作品である。
(はなびやさん 50代・ママ 男の子22歳)
|