淡路島で、牛や馬などの家畜を診療している獣医師の山崎博道さんは、馬にのって往診に出かけています。 乳をとたり、肉を食用にしたりと、人間が利用するために飼っている家畜たちですが、 山崎さんは「できるだけ幸せに過ごさせてあげたい」と考えています。 馬で往診するのは馬を仕事のよきパートナーとして生かすと共に、牛や馬たちの思いを少しでも理解したいという 理由からなのです。そんな山崎さんと馬のフランシスのまわりには、子どもたちや動物たちが集まってきます。 山崎さんの愛情あふれる診察の日々を紹介する、ノンフィクションです。 ▲カラー3p ▲98p
淡路島で牛などの診察を行っている獣医の、山崎博道氏は、動物に愛される獣医師。往診は馬に乗ってあちこち移動することで、島では有名人。淡路島生まれで、父の家畜医院を継ぐために、獣医師になり、北海道で修行をした時、馬に出会った。それから人の助けで馬を手に入れ、往診に使うようになったのが35才。以後、ずっと馬で(時には車で)各家を回って、動物の診療を続けている。
筆者は動物の本を書くのが大好きだという、井上氏。長い事、この珍しい取り組みをしている獣医師に会いたかったそうだ。取材はまるで懐かしい友人と会って会話しているような雰囲気だったらしい。
この二人の、動物や命、人間の暮らしを丁寧に見守り、使命をしっかり果たしていく心意気が作品から感じ取られる。地味な活動を長年コツコツ続け、こころから命をいつくしむ温かさが伝わってくる。
現在の山崎氏の活動の他に、戦時中の淡路島の軍馬についての話、淡路島の人々の暮らしなども書き込まれ、物語にふくらみが出て、淡路島に行ったような感じを楽しみました。
文字も大きく、話も分かりやすく、ルビもふってあるので、子どもだけではなく、どなたにも読んでいただける本。疲れた大人を癒す効果もあると思うので、是非とも多くの人に読んでもらいたい作品です。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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