|
地球の植民地となる星を探す宇宙船は,理想的なすばらしい星を発見したのだが…。表題作のほか「華やかな三つの願い」など収録。
『星新一ちょっと長めのショートショート1』(理論社)。
表題作である「宇宙のあいさつ」をはじめとして、10篇の「ちょっと長めのショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。
『ショートショートセレクション』シリーズの場合、ひとつのお話に一枚の和田誠さんの挿絵でしたが、このシリーズでは2枚あったりして、こちらも「ちょっと多め」。
ただこの巻の場合、表題作である「宇宙のあいさつ」「華やかな三つの願い」「夜の流れ」は確かに「ちょっと長め」だが、それ以降の「契約時代」からの7篇は普通の短さといっていい。目次のタイトルの扱いも、活字ポイントが少し小さめとなっている。
だからといって、楽しめないわけではない。
もしかしたら、「ちょっと長め」の作品よりも切れがいいかもしれない。
「名判決」という、落語の「三方一両損」をもじったパロディものなど、なかなか面白い。星さんの作品として、時代ものというのも楽しめる。
で、「ちょっと長め」の作品では、「華やかな三つの願い」が面白かった。
失恋して世をはかなんだ若い女性。そこに現れたのは、悪魔。つまり、死んだあとに彼女の魂をもらいたいということ。
但し。その前に三つの願いをかなえるという。
彼女の最初の願いはスターになること。これは実現。
次の願いはお金持ちになること。これも実現。
さて、彼女の最後の願いは・・・。
きっと悪魔というのも苦労の絶えない仕事だと思います。 (夏の雨さん 60代・パパ )
|