三太のクラスにやってきた転校生は、着物をきて昔の言葉をしゃべるふうがわりな男の子だ。ある日、その転校生が行方不明になった・・・。
【内容】
三太の教室に、見知らぬ少年が突然やってきた。転校生のようだが、どういうわけか先生には見えないらしい。少年は近所の廃屋あたりに住んでいるらしい。勇敢な猫の三毛と三太は廃屋に侵入して探検を試みるが…
物語はテレビの放送局も巻き込んで、意外な展開を見せる。
【感想】
座敷童が、「お化けに住所を聞くものじゃない」と怒る部分がステキだ。
お化け付き合いにも礼儀あり。本人が秘密にしている住まいに、勝手に侵入した三太に対して、家宅侵入罪(廃屋には適用されるのか?もっとも住人は人間ではないのだが)として、あの世がずいぶん近くなる薬を飲まされてしまった。
罰としては、かなり重い。やはり、お化けの住処は大事なのだ。
三太たちと、お化けが対等にやり合っている。水木先生は、お化けも人間も動物も全部、対等な権利を認めている。この物語では、いろんな問題が発生するが、結局、どうにか問題を解決して、みんながそれなりに仲良く暮らしてしまう。
水木先生の描く世界は、ありとあらゆる存在が対等で共存している。
いつも面白いと思うのが、ねずみ男を始めとして、悪役のお化けや人間が、けっこうセコイ犯罪(またはお金儲け)を思い付き、実行するところ。なかなか生々しい、妙な生活感があって、物語の世界からふっと現実の社会に戻る感じがある。ファンタジーものはその世界に没入して、現実を100%忘れて楽しむのもいいが、時々ふと現実に戻り、正気に戻って、現実と異界を行ったり来たりする感じもなかなか捨てがたい。
もっとも、水木先生の描く世界は、現実に非常に近いので、異界に行ったとい感じがあまりない。現実の生活の中で、何か些細なきっかけで簡単に向こうの世界に入り込んでしまいそうだ。特別な手続きも能力もいらない。行ったきりになってもどうってことがな気がして、怖い。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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