「子どもは何を食べてもタダ」というレストランが開店した。子どもたちは大よろこびで、われさきにさっとうしたが・・・。
顔を盗まれた子どもたちに出会ったねずみ男は、賞金に目がくらみ犯人を探し出そうと山奥に乗り込んだ。しかしのっぺら坊の策略にはまり、顔を盗まれ、鬼太郎に泣きつくことに。鬼太郎出動!のっぺら坊との対決が始まる…
腹が減ったので山奥で芋虫を食べているねずみ男。更に、のっぺら坊の経営する妖怪レストランのコックとして雇われるねずみ男。なんとも生活苦の匂いが生々しい描写に思わす苦笑する。おばけは遊んで暮らすというが、半分人間のねずみ男は、浮き用のしがらみの中で生きている。しがらみだらけの我々人間は、なおさら働かなければならず、面倒な人間関係や厄介な問題に日々直面している。
だから妖怪の世界に一時期、現実逃避してみたいと思うのだが、水木先生の作品はそんなに甘くない。妖怪ですら、「顔があったら便利」という誘惑にかられ、本来なくてもいい顔を得るために犯行を繰り返すようになってしまった。
欲に目がくらむのは、人間も妖怪も同じらしい。ただ、妖怪はすぐに反省して素直に元の世界に戻っていくが、人間はいつまでも執着して人生をめちゃめちゃにしたりする。
何が便利で豊かな生活なのだろうか。
ちょっと難しい事を考えさせられてしまうような、リアルな一面もあるが、「顔を盗まれる」というシュールな場面もあり、極端な世界を行ったり来たりする醍醐味が味わえる作品。(1983年第1刷発) (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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