ソローの『ウォールデン ー森の生活ー 』の思想に共鳴した作者が、クマのヘンリーを主人公にして、「いまを楽しく生きる」すばらしさを絵本に描きました。
この絵本は、作者のD.B.ジョンソンが、ヘンリー・デイビット・ソローの名著『ウォールデン ー森の生活ー 』の一節から着想をえて、「自然のなかで生きる楽しみ」を、簡潔な文とあざやかな絵で描いた絵本です。 ヘンリーとともだちは、48キロはなれた美しい町、フィッチバーグを見にいくことにしました。どうやっていくかについては、ヘンリーは歩いていくのがいいと思い、ともだちは働いたお金で、汽車に乗ってみたいと思いました……。フィッチバーグに着くまでの、ふたりの一日のすごし方、経験の楽しみ方が、ページの見ひらきごとに対比されて描かれ、子どももおとなも楽しめる、ソローの「いまを楽しく生きる」という思想の、すばらしい入門書にもなっています。 訳者の今泉吉晴さんも、山梨と岩手の山林に自分で小屋を建て、いまの時間を、自然のなかで楽しみながらくらしています。
くまのヘンリーと友達が48キロ離れたフィチバーグという街へ出掛けることにしたのですが、二人は、バラバラに行くことにしました。ヘンリーは、歩いて行きたかったし、友達は汽車で行きたかったからです。はたして、どちらが先に着いたのでしょうか。
友達は、切符代を稼ぐためにいろいろな仕事をします。薪運び、掃除、草抜きなど。一方、ヘンリーは、花をつんだり、いかだで川をさかのぼったり、ハチの群れに襲わり・・・。二人とも、それぞれ色々な体験をして、苦しかったり、楽しかったりしながら、とうとう目的地にたどり着くのです。
本の見開きの左側が友達、右がヘンリーの同時進行で描いているところが面白いですね。また、絵のタッチが独特で、色使いが明るくきれいです。
自分なら、どうやって48キロの旅をするのか想像してみると、また楽しめます。歩くのが大好きな我が家は、全員一致で、ヘンリーと同じ歩く方を選びました。
でも、乗り物好きな人、いろんな仕事をしてみたい人、だらだら移動するのが嫌いな人は、友達の選んだ方法にすることでしょう。一方、歩くのが好きな人、自然を満喫したい人、冒険好きな人は、迷わずヘンリーの方を選ぶのです。時間の楽しみ方は、人それぞれで、どちらがいいかは、その人次第なのですね。 (はなしんさん 30代・ママ 女の子6歳、男の子4歳)
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