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森の嫌われ者のカラスは、親切なネズミと友だちになりたいと思った。でも、ネズミはカラスと友だちになりたくなくて、仲良しのカメに相談することにした…。日本のアンデルセン、久留島武彦の世界がよみがえる。
この『ともがき』という話は、昭和初期に活躍した日本のアンデルセンと呼ばれる
口演童話家:久留島武彦さんが昭和10年に当時の内親王の御前で話した話
だそうです。
「ともがきって何?」が、無知な私の最初の感想でした。そして、同じく息子も表題
を見た途端に、同じつぶやきでした。
話は、自分が美しいと自慢ばかりしていて、みんなから嫌われ者になっていたカラス
が、親切なねずみを見て友達になりたいと思ってお願いしたところ、困ってしまった
ねずみが、友達のカメにどうしたらいいのか相談して、そして、シカを交えて友達に
なったところ、事件が起きて.. という話でした。
口演のものを本にしているので、活きた言葉が使われていて、臨場感があり、きっと
当時聞いていた子ども達も、とても楽しんだんじゃないかと思いました。
ウチの息子も、カラスたちが繰り広げる友達救済作戦の言い回しが、よほど面白い
のかケラケラ笑い出す始末でした。
ああ、是非、出来ることならタイムスリップして、久留島武彦が口演している話を
聞いてみたいなぁ。
ちなみに、“ともがき”とは友垣と書いて、「しっかりと結わえられた垣根のように、
固い絆で結ばれたともだちのこと」だそうです。
この本は、久留島武彦の故郷で、毎年5月に久留島に因んだ童話祭を開催して
いる大分県玖珠町の人々が企画して、くるしま童話名作選1として世に出した本だ
そうです。実は、私は、本屋で見かけた名作選2『こぐものいのり』にノックアウト
されて、この本にたどりつきました。
是非、読んでみてください。お薦めです。 (汐見台3丁目さん 40代・ママ 男の子6歳)
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