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神も、人も、精霊たちも、心かよわせ、ともに生きていた……神秘な森のとき──縄文時代。 たつみやファンタジーの源流。連作長編スタート!
はるか太古の昔。 山も、川も、木々も、獣も……みな、心をもった存在だった。 人もまた、月神の統べる森の恵みを受け取って生きていた。ある時、海からきたヒメカの民は、 土地をかこってクニとし、敵意をむき出しにしてムラに襲いかかった。 そして、ムラの若き長(おさ)アテルイと、美貌の巫者(ふしゃ)シクイルケは、 流亡(りゅうぼう)の旅の途中、翡翠(ひすい)色の目をもつ少年ポイシュマと運命的な出会いをするのだった……。 かつて語られることがなかった神秘の縄文時代に光をあて、人々の愛と闘争を描く、たつみやファンタジー待望の新作!
夜空を照らす月というのは、昔の人々にとっては、たいへんたいせつなものであったにちがいないのに、 『古事記』や『日本書紀』の中には、月の神様の話はほんのちょっぴりしかありません。 このお話は、月にまつわる神話が消えてしまった謎を、私なりに考えてみたいと思って書き始めました。 それと同時に、私たちの先祖の歴史である縄文と弥生という2つの文明が出会った時代を描きだすこ とで、 私たちの現在と未来を考えてみたいという思いもあります。 なぜなら、縄文時代には、人間と自然は共生していたからです。──(著者あとがきより
野間児童文芸賞
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読もうと思えば小学校高学年から読める易しい読み口とは裏腹に、大人に向けて描かれたかのような読み応えある内容。
八百万の神がいると信じられていた古代日本、アイヌ神話を元に自然への感謝が全編通して描かれ、つい自分は自然に対してどう考えているのかと自問してしまう不思議な引力があります。読んだ人なら、一度は考えたと思う。
生き抜くために獲物を獲ったり、花芽を摘んだり、折った枝で弓を作ったり。壊した自然に対して、いちいち感謝の気持ちを表す「けずり花」 を作って奉げます。
あまりにも徹底した感謝を事も無げに日常的に行うポイシュマが、凄くもあり羨ましくもあります。
けずり花ってどんなだろう。ちょっと見てみたいなぁ。
挿絵にもこれは描かれない。
というところから、アイヌの文化に興味を抱きました。
またムラでの暮らしぶりや他のムラとの交易の様子などは大変興味深く、ヒメカ側の暮らしや思想も細かに描かれ、移る時の流れを戦だけではなく内側からも描いているのだと思います。
私はそんな物語の裏要素が強かった2巻が特に好きです。
縄文から弥生への移り変わりの物語。
我が家は、ばあばが全シリーズ集めてくれました。団塊の世代にも面白いということですね。 (てぃんくてぃんくさん 40代・せんせい 女の子12歳)
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