第二次世界大戦下のドイツ。「白バラ」という名の少女が住むちいさな町にも、戦争は確実にやってきた。
ある日、逃げようとする一人の少年をのせて走り去るトラックを目撃した「白バラ」は、そのあとを追う。町をはずれ、広い野に出て、見たこともない森へ。森のなかの切りひらかれたところで少女が見たのは、鉄条網をへだてたむこう側のおおきな木造の建物と、そのまえに立ちつくした、やせた子どもたちだった。風のつよい、寒い日だった……
甘さのみじんもない、しかし、リリカルな本当の“絵本”が、ここにある。「白バラ」という名の少女の記憶をとどめてほしい。この絵本を読んだら、あなたの心のなかに。
伝記絵本についての論文の中で紹介されていた一冊です。
「白バラ」という名の少女が見つけたのはユダヤ人の収容所。少女は誰にもそれを知らせることなく、収容所へ食べ物を運びます。
ロベルト・イーノセンティの描く絵はとても美しく切なく、それだけにその悲惨さ悲劇が一層物悲しく切なく感じました。
収容所のこともユダヤ人迫害のことも文中には出て来ませんが、絵を見ればそれは一目瞭然で、とても力のある絵だと思いました。
ホロコーストを描いた絵本の一冊としてとても印象に残りました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子12歳)
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