スズキコージさんの絵にひかれて手にとりました。
心がないと言われながらも最後に気持ちを表現した主人公、泣いたり怒ったりばかりしている人たち、自分と違う人を攻撃したり排除したりしようとする人たち…といった登場人物が描かれます。
私は、この描かれた世界が世の中の象徴であると同時に、自分の心の中に時々わいてくる感情、風景を表しているとも思いました。
障がいや強い悲しみにより自分の感情を押し殺してしまう、困っている人を見て見ぬ振りをする、怒って八つ当たりする、特定のグループに入ってくる新人をうとましく感じる、などなど誰にでも思い当たることがあるのではないか、と。
読み終わって幸せになれる本ではないかもしれませんが、心に響くものがありました。
繰り返し読むことが好きな小学生かヤングアダルト以上の年齢向きかと思います。
ちなみに、小学6年生の教室で読み聞かせしたところ、「いじめや差別はいけない」メッセージだと受け取った子が多かったです。(読み聞かせの後、感想を聞くことはしない主義ですが、担任の先生が子どもたちに問いかけました。)