ターシャ・テューダーは、アメリカで最も愛されている絵本作家のひとり。
アメリカ人の心を表現する絵と言われていて、クリスマスカードや感謝祭、ホワイトハウスのポスターに使われています。
コルデコット賞オナー賞受賞作家。
園芸家としても知られており、30万坪の土地に住んでいた時のスローライフは日本でも注目され、書籍も沢山残されています。
そのターシャが、愛犬・コーギ犬のケイレブを主人公にして作ったのが、本作品。
登場するのは、ターシャの欠かせないパートナーであったコーギの他、ウサギ、猫、ニワトリ、ヤギ、カラス等、全てターシャが飼っていた動物達と、トロルという妖精達で、コーギビルという村を舞台に物語が展開します。
何と言ってもこの本の魅力は、ターシャが擬人化して描いた動物達のその生き生きとした表情です。
精緻としか言いようのない擬人化した動物達は、一見の価値ありです。
動物を擬人化した作品は、数多かれど、ここまで見るものを魅了する作品はお目にかかったことがありません。
今まで読んだターシャの作品は、写実的で綺麗なものばかりだったのですが、ターシャの別の魅力に圧倒されてしまったというのが、第一印象です。
物語は、アメリカの田舎の村祭りを描いたものですが、クリスマスとともに年間の最大イベントということが、良くわかるものです。
典型的な村祭りの光景が一面に展開しているのですが、その賑やかなだけでなく、食べ物の匂いまでもが伝わってくる、そんな感覚に陥ってしまいました。
楽しさだけでなく、ハラハラさせる伏線もあって、実に良くできた展開の作品だと思います。
読み聞かせするには、分章が若干多めですが、絵を見るだけでも満足できる作品なので、是非オススメします。
この作品は、3部作なので続けて読む楽しさもあり、ターシャが、益々好きになりました。
絵本作家としてのターシャの人気の理由が分かる作品です。