絵がとてもハッキリしていて、とても好感が持てます。
子ども達よりも大きく描かれている、にわとりのつんた。子ども達にとっては、そんなに大きく感じるくらい脅威だったのでしょうね。
威張っていて、いじわるで、みんなの大嫌いなつんたがいなくなってしまって、みんなは大喜びするのですが、だんだん寂しくなってきます。
いると嫌なのに、いないと寂しい。そういう気持ちがよく伝わってきます。
つんたは行方不明のまま、話は終わりますが、いなくなったというページにだけ、端っこに、小さいお墓が描かれているのです。
きっと作者は、死んでしまったことを最後まで明らかにしないで、「急にいなくなってしまった。どうしたんだろう。」という子どもの目線を最後まで貫いたのではないでしょうか。
死(不在)から、子ども達は自分達の力で立ち上がり、「負」を「楽しい遊び」に変換してしまうという前向きな姿勢で歩んでいく、そんな姿を描いているのかもしれません。
一見、何気ないお話ですが、なかなか深いものがありました。
ただ残念なことに、さらっと読んでしまうと、たいしたことのないお話に思えるんですよね。