「母の友」のバックナンバー2010年1月号の「私のことば体験」という松居直さんの言葉を読みなおしていたら、「『平和』ということばは、祈りでした」という文が目に飛び込んできました。
子どもの本を出版する、子どもたちに本を届けるという気持ちの真髄には平和への祈りがある。日本の児童文学の本格的な始まりは戦後にあります。それを考えてみると、子どもの本の出版=平和への祈り。
出版社は違いますが、童心社の本の中に日・中・韓平和絵本シリーズがあります。童心社の紙芝居についてのお話を伺った時の「紙芝居は平和」という言葉がとても心に残っています。
松居さんの言葉とその言葉が私の中で重なりあい、それぞれの出版社が子どもの本に託した思いというのを考えるきっかけにもなりました。
前置きが長くなりましたが、田島征三さんにも戦争について描かれた本が何冊かあります。
そしてそのどれもが心にまっすぐに平和への祈りの気持ちを伝えてくるような気がします。
この本の中の人間は表情もなく粘土細工の人形のようなのに、心をえぐられるように心に迫ってくるのです。
特に肉体が砲弾により引き裂かれ粉々になる場面はとても正視できませんでした。
同じ頃『さがしています』を読みこの『ぼくのこえがきこえますか?』を読みました。
戦争によって引き裂かれ伝えられなかった幾多の声があったことでしょう。この世の中にいらないものがあるとしたらそれは「戦争」だと思います。