夫に言わせれば救いのないお話、私が思うにはしばらく心を支配されてしまうほど重くのしかかってくるお話、でもこういう絵本も必要だと強く思います。
やなせたかしさんは自身や家族の戦争の体験などから、命を扱った作品が多いことは知っていました。
けれど、この作品ほどダイレクトに人の命や存在について考えさせられる本は私が出会った中では初めてでした。
人から勧めていただき読む機会を持てたのですが、まず私が一人で読みとても心が苦しくなりました。
自分自身も意識していない中で見た目で判断していることってあまりに多いなぁと思って。
6歳と3歳の娘には「悲しいお話だけど」とはじめに前置きして読み聞かせてみました。
まず次女の反応、次女はキラキラの大きさと一つ目という風貌の絵を見て怖いといって二度目読むのは拒みました。
そして長女、読み終わって一言、「そんなに悲しくなかったよ」と。
それがどういう意図なのかは全ては私に分かりませんが、悲しい結末ではあるけれど最後にお互い分かり合えたことにホッとしてくれたならと願っています。
長女の感想で面白かったのが、「どうしてキラキラのことオバケと思ったんだろうね。」
大人は勝手な先入観でキラキラはなんだかちょっと普通とは違う怖いもの‥という勝手な前置きを持って読んでしまいます。
でも長女は一つ目だけどそれが何?と思えた。
だからこそ「なんでオバケと思ったんだろう?」と感じられたのだと思います。
それから「お互いオバケって思ってたなんておかしいね。」と言っていました。
人を疑ったり警戒することより、お互いを知りたいと思う心があればお互い恐れずにすんだのにね。
この絵本を読んで感じたこと、長女の感想を聞かせてもらえて気づかせてもらったことが私にとっては本当にたくさんありました。
園児が読んでも小学生が読んでも中高生が読んでも大人が読んでも必ずなにか心にひびくはず。
この絵本に出会えて本当によかった。
夫のいうように救いはないけれど、私たちが忘れてはいけないものを教えてもらえました。